【MSコラム第2回】業務と人をつなぐ「スキルの可視化」 ―― 生産性を最大化する組織設計の実践プロセス

2026年2月13日

前回のコラムでは、業務整理によってムダを減らし、組織全体の生産性を高めるプロセスをご紹介しました。しかし、業務が整理されただけでは、組織のパフォーマンスは最大化されません。次に必要となるのが、「人が持つスキルを正しく把握し、活かすこと」、すなわちスキルの可視化です。

多くの企業では、「誰が何をどこまでできるのか」が暗黙知のまま業務が回っています。その結果、特定の人に業務が集中したり、本来活かせるはずのスキルが埋もれてしまったりするケースが少なくありません。私たちが支援する現場でも、スキルの可視化は業務整理の次に必ず行う重要なプロセスです。

 

業務を分類する(大・中・小)

スキル可視化の起点は「人」ではなく「業務」です。前回整理した業務を、大分類・中分類・小分類に分解(実作業まで分解)し、どのような作業が存在しているのかを改めて整理します。ここで業務を細かく分けておくことで、「なんとなくできる」「経験がある」といった曖昧な評価を防ぐことができます。

 

業務ごとに必要なスキルを洗い出す

次に、それぞれの業務に対して必要なスキルを整理します。ポイントは、資格や肩書きだけではなく、実際の業務行動に紐づいたスキルとして定義することです。たとえば「資料作成」であれば、操作スキルなのか、構成設計まで含むのか、意思決定を支援するレベルなのかを明確にします。

 

スキルの評価段階を決める

スキルを比較可能な状態にするため、評価段階を設定します。ここでは感覚的な上手い・下手ではなく、成果や再現性を基準に定義することが重要です。

例えば下記の様に

1:指示があれば実施できる

3:一人で完結し、安定した成果を出せる

5:他者に教え、改善や仕組み化までできる

 

各人のスキルを可視化する(自己評価+第三者視点)

評価は本人の自己申告だけで完結させず、上司やプロジェクト責任者など第三者の視点を組み合わせます。このプロセスを通じて、自分では気づいていなかった強みや、過小・過大評価されていたスキルが明らかになり、本人の納得感も高まります。

 

スキルを踏まえて業務へ再アサインする

可視化されたスキルを基に、改めて業務へのアサインを見直します。単に空いている人に仕事を割り振るのではなく、スキルと業務の相性を意識した配置を行うことで、業務品質とスピードの両立が可能になります。

 

スキルギャップを育成・改善につなげる

最後に、現在のスキルと求められるスキルの差分を整理し、育成や業務設計へとつなげます。誰が教えられるのか、どの業務を通じて育成できるのかを考えることで、スキル可視化は一過性の施策ではなく、継続的な組織成長の仕組みになります。

 

まとめ

スキルの可視化は、人を評価するための仕組みではなく、人と業務を最適につなぐための手段です。業務整理によって仕事の構造を明らかにし、スキル可視化によって人の強みを引き出す。この2つを組み合わせることで、組織は初めて本来の力を発揮します。前回の業務整理に続く次の一手として、ぜひスキルの可視化に取り組んでみてください。

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